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ペットの遺品を片づけられないとき|急がなくていい整理の始め方

2 日前
読了時間: 12分

この記事でわかること

  • 「いつ片づけるか」に正解がない理由と、時期の決め方の考え方

  • 食器・首輪・ベッド・薬の空き袋など、手放しにくいものとの向き合い方

  • 全部か、ゼロかではない「一部だけ残す」という方法

  • 家族のあいだで意見が分かれたときの、話の進め方

  • 写真に撮ってから手放すなど、負担を小さくする手順

「ペットの遺品整理はいつ?」に、決まった答えはありません

検索窓に「ペット 遺品 整理 いつ」と打ち込んだとき、あなたはきっと、どこかに書かれた「◯日後が目安です」という一行を探していたのではないでしょうか。


けれど、その一行はおそらく、あなたを楽にしてくれません。


そこに書かれた時期より早ければ「もう片づけてしまうなんて」と思い、遅ければ「まだ片づけられない自分はおかしいのか」と思ってしまう。数字は、どちらに転んでも責める材料になりやすいものです。


この記事では、時期を数字で示すことはしません。かわりに、「いつ」を自分で決めるための材料をお渡しします。


片づけられないのは、問題ではありません

まず、はっきりお伝えしておきたいことがあります。


フードボウルを洗わずに置いてあること。玄関にリードがかかったままであること。ベッドに毛がついたまま、掃除機をかけられずにいること。これらは、解決しなければならない問題ではありません。


それらは、その子がこの家で暮らしていたという事実が、まだ形を保っているということです。形が残っていることで保たれているものが、たしかにあります。


「いつまでも引きずってはいけない」という言葉を、どこかで聞いたことがあるかもしれません。でも、片づけることと気持ちの整理が進むことは、同じ順番で進むとはかぎりません。片づけたから楽になる人もいれば、片づけてしまって後悔する人もいます。


「片づける」には、いくつもの段階がある

遺品整理というと、「捨てる」か「とっておく」かの二択に見えてしまいがちです。けれど実際には、そのあいだにいくつもの段階があります。


段階

具体的にすること

負担の大きさ

そのままにする

何もしない。置き場所も変えない

いちばん小さい

まとめる

散らばっているものを、ひとつの箱に集める

小さい

しまう

見える場所から、押し入れや棚へ移す

小さめ

記録する

写真に撮る、動画に残す

ふつう

分ける

残すもの・手放すものを仕分ける

大きめ

手放す

処分する、人に渡す

いちばん大きい


上から順に進まなければいけない決まりはありませんし、途中で止まってかまいません。「まとめる」だけして、何年もそのままという方もいます。それも立派な整理のかたちです。

手放しにくいもの、それぞれの理由

ものによって、手放しにくさの種類が違います。理由がわかると、扱い方も少し見えてきます。


食器・フードボウル

毎日、何度も触れていたもの。音の記憶と結びついていることが多いものでもあります。カチャカチャという音、呼ぶと走ってくる足音。食器を見るとその音が聞こえる、という方は少なくありません。


洗わずにそのままにしてある場合、「洗ってしまったら最後の食事の痕跡が消える」という感覚があるかもしれません。急いで洗う必要はありません。洗えるようになったら洗う、でかまいません。


首輪・リード・ハーネス

身につけていたもののなかでも、特に「その子そのもの」に近いと感じられるものです。使い込まれて形が変わっていたり、においが残っていたりします。


首輪は、残す方が多いもののひとつです。小さいので保管場所にも困りません。迷ったら、無理に判断しなくてよいもののひとつだと考えてください。


ベッド・毛布・マット

大きくて場所をとるため、現実的な理由から「どうしよう」と悩みやすいものです。同時に、毛やにおいがもっとも残っているものでもあります。


洗ってしまうとにおいが消えてしまう、という理由で洗えずにいる方もいます。においは時間とともに薄れていくものなので、どうしても残したい場合は、小さく切り取った一部を密閉できる袋に入れて保管するという方法もあります。


おもちゃ

お気に入りだったひとつと、ほとんど使わなかったいくつか。同じ「おもちゃ」でも、意味がまったく違います。全部をまとめて考えようとすると動けなくなるので、ここは分けて考えやすい分類です。


薬の空き袋・病院の明細・療法食の袋

これは、手放しにくさの質が少し違います。


看病していた期間の記録であり、「できるかぎりのことをした」という証でもあります。同時に、見るたびに最後の日々を思い出させるものでもあります。だから、早く処分したい人と、どうしても捨てられない人に分かれます。


どちらの気持ちも自然なものです。ご家族のあいだで、ここだけ意見が割れることもよくあります。


写真・動画のデータ

ものではないので場所はとりませんが、「見返せない」という形で止まっていることがあります。スマートフォンを開くたびに写真が目に入るのがつらい場合は、専用のフォルダやアルバムにまとめて、普段は目に入らないようにしておく方法があります。


削除する必要はありません。見られるようになるまで、しまっておけばいいだけです。


もの

手放しにくい主な理由

よくとられる方法

食器

日常の音と結びついている

洗って残す/そのまま置く

首輪・リード

その子そのものに近い

ほぼ残す

ベッド・毛布

においと毛が残っている

一部を切って保管

おもちゃ

一つひとつ意味が違う

お気に入りだけ残す

服・カッパ

サイズがその子専用

一着だけ残す

薬の袋・明細

看病の記録でもある

家族で意見が割れやすい

写真データ

見返すのがつらい

フォルダを分けてしまう

ケージ・サークル

場所をとる現実的な問題

時間をおいてから考える

だれも教えてくれない、「全部」でも「ゼロ」でもない残し方

遺品整理で動けなくなる大きな理由のひとつは、「残すか、手放すか」をものごとに決めようとすることです。


でも実際には、もっと細かい単位で決めることができます。


ひとつの「もの」を、分けてしまう

たとえばベッド。丸ごと残すと押し入れの一段を占領します。けれど、角を10センチ四方だけ切り取って小さな袋に入れれば、手のひらに収まります。


毛布も同じです。一枚そのままではなく、一部だけ。服なら、ボタンやタグだけ。リードなら、持ち手の部分だけ。


「全部残すのは無理だけれど、全部手放すのも無理」というとき、この方法は現実的です。残したのは一部でも、残したという事実は変わりません。


「保留箱」をひとつ作る

判断できないものを入れる箱を、ひとつだけ用意します。決められないものは、全部そこに入れる。


ポイントは、その箱に「いつ開けるか」を決めないことです。期限を決めると、それ自体が重荷になります。開けたくなったら開ける、開けたくならなければ開けない。それで成立する箱です。


押し入れの奥でも、クローゼットの上でもかまいません。「決めないでいい場所」があるというだけで、ずいぶん違います。


写真に撮ってから手放す

手放すことを決めたものも、その前に写真を撮っておく。これだけで、後悔の質が変わることがあります。


撮り方のコツがあるとすれば、「ものだけを撮らない」ことです。使っていた場所に置いた状態で撮る。玄関のフックにかかったリード、いつもの位置に置いた食器。そうすると、ものの記録ではなく、暮らしの記録になります。


後日「あれを捨てなければよかった」と思ったとき、写真があるのとないのとでは、ずいぶん違います。


「使う」という残し方

残したものを箱にしまい込むのではなく、形を変えて日常に置く方法もあります。首輪を写真立てのそばに掛ける。お気に入りのおもちゃを棚に並べる。毛布の切れ端を小さな袋に入れて持ち歩く。


ただ、これは「そうすべき」という話ではありません。見える場所に置くのがつらい時期もあります。しまっておくことも、同じだけ正しい選択です。

「いつ」を自分で決めるための目安

数字では示せませんが、手がかりになる感覚はあります。


こんなとき

考え方

見るたびに涙が出る

まだそのままでかまいません

見ても何も感じない日がある

少し触れてみてもいいかもしれません

周りに急かされている

周りの時間と、自分の時間は別です

引っ越し・模様替えの予定がある

物理的な事情で動くのは自然なことです

新しい子を迎えることになった

迎える前に決めなくてもかまいません

片づけたら忘れてしまう気がする

片づけと忘れることは、別のことです


外からの期限に合わせなくていい

年末の大掃除、引っ越し、法事のような節目。「このタイミングで」と外から区切りがやってくることがあります。


節目を利用して進めるのは、ひとつの方法です。ただ、節目に合わせられなかったことを、失敗と考える必要はありません。次の節目はまた来ますし、節目でない日に突然できるようになることもあります。


「もう平気」と「まだ無理」を行き来する

整理が一直線に進むとはかぎりません。昨日は平気で触れたものが、今日は見られない。そういうことは起こります。


一度しまった箱をまた出してくる、手放すと決めたものを結局とっておく。行ったり来たりするのが、普通のことです。

家族のあいだで意見が分かれたとき

同じ家で同じ子と暮らしていても、整理に向かう速さは人によって違います。


「早く片づけたい人」と「まだ触れられない人」が同じ家にいるとき、どちらかが間違っているわけではありません。早く片づけたい人は、目に入るのがつらいから片づけたいのかもしれません。触れられない人は、まだそこに置いておきたいのかもしれません。どちらも、その子を思っていることには変わりがないのです。


話すときに役立つ区切り方

分け方

具体例

人で分ける

「この子の首輪は私が、おもちゃはあなたが決める」

場所で分ける

「リビングのものは片づける、自分の部屋のものは残す」

ものの種類で分ける

「消耗品は手放す、身につけていたものは残す」

時間で分ける

「今は決めない。決められるようになった人から決める」


「家全体をどうするか」をいっぺんに話し合おうとすると、対立しやすくなります。小さく区切って、決められるところから決めていくほうが、進みやすいことがあります。


どうしても折り合わないとき

折り合わないまま、保留箱に入れておくという選択もあります。結論を出さないことは、問題の先送りではなく、ひとつの決定です。


家族のあいだの温度差そのものについては、別の記事でも詳しく書いています。整理の話がうまく進まない背景に、悲しみ方の違いがあることも少なくありません。



子どもがいるご家庭で

お子さんにとって、その子の持ちものは「まだある」ことの支えになっていることがあります。大人の判断だけで片づけてしまうと、あとから強い喪失感が出てくることもあります。


ひとつでいいので、「これはあなたが決めていいよ」と任せられるものを残しておくと、お子さん自身のペースで向き合えるようになります。

手放すときの、具体的なやりかた

決めたものを実際に手放す段になって、また止まってしまうことがあります。


処分の方法について

自治体によって、ごみの分別の決まりは異なります。事前に確認しておくと、当日に迷わずにすみます。


「ごみとして出す」ことにどうしても抵抗がある場合は、紙に包んでから出す、お礼を言ってから出す、といったことをされる方もいます。形式に決まりはありません。自分が納得できるやり方で大丈夫です。


寄付や譲渡について

未開封のフードやペットシーツ、使っていないケージなどを、保護活動をしている団体や知人に譲るという方法もあります。


ただし、これは「そうしたほうがいい」ことではありません。「役に立つなら」と思える方には合いますが、「あの子のものが他の子のところへ行く」ことがつらい方もいます。どちらの感じ方も自然です。


受け入れ先によって、受け取れるものの条件は異なります。考える場合は、事前に先方へ確認してください。


一度に全部やろうとしない

片づけ始めると、途中で手が止まることがあります。それでかまいません。


出しかけた箱を閉じて、また別の日にする。そのほうが、無理に最後までやりきって消耗するよりも、結果的に進みやすいことが多いようです。

ご家庭で受けられるケアという選択肢

合同会社しっぽは、北九州市内全域(門司・小倉北・小倉南・若松・八幡東・八幡西・戸畑の7区)で、老犬・シニア犬・療養中のペットのご家庭にうかがう訪問型のアニマルケアを行っています。動物取扱業登録済(保管・第16014号)で、担当するのは愛玩動物救命士・愛玩動物看護師・愛玩動物介護士のいずれかです。


お別れのあとのご家族に対しては、グリーフケア(ペットロスサポート)をご用意しています。オンラインでのご相談にも対応しています。


遺品の整理そのものを代行することはできませんが、「片づけられない自分はおかしいのか」「家族と話がかみ合わない」といったことを、どこにも言えずに抱えている方はいらっしゃいます。その子がどんなふうに暮らしていたか、何を気に入っていたか、そういう話を誰かに聞いてもらうことで、ものとの距離が少し変わることもあります。


ご相談・カウンセリングは無料です。料金が発生するサービスをご利用いただく場合は先払い(入金確認後にサービスの準備を進めます)となりますが、まずはお話を聞かせていただくところから始められます。ご予約は24時間お受けしています(原則として当日のお申し込みは承っておりませんが、緊急性が高いと判断した場合は可能なかぎり対応いたします)。


このほか、ご存命のうちからの訪問介護・介助、訪問ホスピス・ターミナルケア、ご家族の休息のためのレスパイトケア、病院への帯同、エンゼルケアも承っています。具体的な内容や費用については、お問い合わせください。


なお、しっぽは施設を持たず、お預かりやペットホテルは行っておりません。医療行為も行いません。体の異変が気になる場合は、かかりつけの動物病院にご相談ください。


その子の食器が、まだ台所にあるかもしれません。首輪が、まだ玄関にかかっているかもしれません。


それは、片づけ忘れではありません。まだそこにあってほしい、という気持ちの形です。いつ動かすかは、あなたが決めていいことです。

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