犬の訪問介護では何をしてもらえる?できること・できないことを正直に
この記事でわかること
犬の訪問介護(訪問アニマルケア)で実際に行われるケアの中身
「できないこと」と、獣医療との線引きがどこにあるのか
依頼する前に家族側で決めておくと迷わない準備事項
初回の流れ・鍵の扱い・留守中の立ち会いについての考え方
北九州市で在宅のまま受けられるケアの選択肢
犬の介護が始まったとき、多くの飼い主さんがまず困るのは「何を頼めるのかが分からない」ことです。病院は治療の場、トリミングは美容の場。では、夜中に立てなくなった子を支えること、半日おきに体の向きを変えること、便の付いたお尻を拭くこと——これは誰に頼めばいいのか。
言葉にしにくい部分だからこそ、ここで具体的に書き出していきます。
犬の訪問介護とは、どういう立ち位置のサービスか
訪問介護(訪問アニマルケア)は、担当者がご自宅に伺い、その場でわんちゃんの生活を支えるサービスです。預けるのではなく、住み慣れた家の中でケアを受けるという形をとります。
シニア期の犬にとって、環境が変わることは体力を使います。見慣れない天井、知らない匂い、違う床の感触。足腰が弱っている子ほど、この負荷が大きくなります。在宅でのケアは、その移動負荷そのものを発生させない点に意味があります。
場面 | 主に関わる専門領域 |
診断・治療・投薬の判断 | 動物病院(獣医師) |
日常の介助・清潔保持・見守り | 訪問アニマルケア |
被毛のカット・美容 | トリミングサロン |
終末期の付き添いと家族の支え | 訪問ホスピス・グリーフケア |
この線引きを最初に押さえておくと、「どこに何を相談すればいいか」で迷う時間が減ります。
訪問介護で実際にしてもらえること
食事の介助
自力で食器まで行けない、顔を下げると咳き込む、飲み込みに時間がかかる——シニア期にはこうした変化が出てきます。体を支えながら姿勢を保つ、少量ずつ口元へ運ぶ、食べたあとの口まわりを拭く、といった一連の介助を行います。
食べるスピードや残した量、むせた回数などは、あとから振り返るための大切な情報になります。
投薬の補助
かかりつけの動物病院から処方されているお薬について、飼い主さんの指示に沿って飲ませる手伝いをします。ここで重要なのは、薬の種類や量を決めるのは獣医師であり、ケア側ではないという点です。「この薬は減らしてもいいですか」といったご質問には、動物病院にご確認くださいとお伝えする形になります。
排泄のケアと体の清拭
寝たきりに近づくと、排泄の失敗が増えていきます。おむつの交換、陰部やお尻まわりの清拭、汚れたシーツやマットの交換。濡れたまま時間が経つと皮膚トラブルにつながりやすいため、こまめに整えることが日々の負担を減らします。
全身を拭く清拭も、シャンプーが難しくなった子にとっては欠かせないケアです。
体位変換(寝返りの介助)
自力で寝返りが打てなくなった子は、同じ面が床に接し続けます。定期的に体の向きを変え、クッションやタオルで隙間を支える。地味ですが、在宅介護で最も頻度が高く、最も家族が疲弊しやすい作業のひとつです。
歩行の補助と外の空気
まだ歩ける子には、ハーネスやタオルで体幹を支えながらの歩行補助を行います。長い距離を歩く必要はありません。玄関の外まで出て風に当たる、日向で数分座る。それだけでも、生活にリズムが戻ってくることがあります。
ふらつきが強い日は無理に歩かせず、抱えて外気に触れる形に切り替えます。
見守りと記録の共有
飼い主さんがお仕事や外出で家を空ける間、そばで様子を見守ります。そして、見たこと・気づいたことを記録してお伝えします。
記録しておくと役立つ項目 | 見ているポイント |
食事 | 食べた量・時間・むせの有無 |
水分 | 飲んだ様子・飲みづらさ |
排泄 | 回数・性状・タイミング |
姿勢 | 体位変換の時刻・好む向き |
呼吸 | 速さ・落ち着いているか |
様子 | 声の出し方・反応・表情 |
この記録は、動物病院を受診するときにそのまま役立ちます。「最近あまり食べません」より、「○日から朝食を半分残すようになりました」のほうが、獣医師にとって判断材料になります。
通院の付き添い(病院帯同)
抱えて車に乗せること、待合室で支えていること、診察室で先生の話を聞くこと。これを一人で全部こなすのは、体力的にも精神的にも大きな負担です。
病院帯同では、移動と院内での付き添いをサポートします。説明を一緒に聞く人がいると、あとで「先生、なんて言ってたっけ」と思い出せない状況を避けられます。
レスパイトケア(家族の休息)
介護する側が眠れていない、という状態は長く続きません。数時間でもケアを代わる人がいれば、横になる、買い物に出る、美容院に行く、といったことができます。
これは「サボり」ではなく、介護を続けるための必要な時間です。倒れてしまえばケアそのものが止まります。
ホスピス・ターミナルケア、そしてお別れのあと
最期の時期に寄り添うケア、旅立ったあとのエンゼルケア(お身体を整えること)、そして残された家族の気持ちに向き合うグリーフケアも、訪問という形で受けられる領域です。グリーフケアについてはオンラインでの対応も可能です。
訪問介護では「できないこと」
正直に書きます。頼めないことを知っておくほうが、結果的に家族を守ります。
できないこと | 相談先 |
病気の診断 | 動物病院 |
治療・処置 | 動物病院 |
薬の処方・内容の変更 | 動物病院 |
注射・点滴などの医療行為 | 動物病院 |
お預かり・ペットホテル | ― |
医療行為は行いません。 体に異変が見られたとき、ケア担当ができるのは「こういう様子でした」と記録して共有し、動物病院へのご相談をおすすめすることまでです。判断と治療は獣医師の領域です。
また、合同会社しっぽは施設を持たず、お預かりやペットホテルも行っていません(その免許は返上しています)。あくまで、ご自宅に伺う形のケアに特化しています。
「できることは何でもやります」と言われるより、「ここから先は病院です」とはっきり言われるほうが、安心して任せられるはずです。
だれも教えてくれない、訪問介護を頼む前に家族で決めておく3つのこと
ここからが本題かもしれません。サービスの内容表には書かれないけれど、実際に依頼が始まってから「決めておけばよかった」と気づくことがあります。
① 「誰が最終判断をするか」を一人決めておく
介護が長くなると、家族の間で意見が割れます。病院に連れて行くか、今日は様子を見るか。食べないときに無理にでも口に入れるか、やめておくか。
ケアに入る側は、その場でご家族に確認をとります。そのとき、連絡先が複数あって全員の意見が違うと、対応が止まります。「最終的にはこの人の判断に従う」という役割を、元気なうちに決めておく。 これは人の介護でも同じですが、犬の介護では話題にしにくく、先送りにされがちです。
② 「どこまでやるか」の線を、家族の言葉で書いておく
延命をどう考えるか、通院の頻度をどうするか、痛みへの向き合い方をどうするか。これは正解のない問いで、よそから借りてきた答えでは、後から必ず苦しくなります。
おすすめしたいのは、短くていいので家族の言葉でメモに残すことです。「できるだけ家で過ごさせたい」「苦しそうな時間は長くしたくない」。この数行があるだけで、いざという夜に迷う時間が短くなります。
③ 「家の中の地図」を渡せるようにしておく
これは意外と盲点です。ケアに入る人が最初に困るのは、犬の状態ではなく物の場所です。
伝えておくと助かるもの | 例 |
食事関連 | フード・食器・給餌シリンジの置き場所 |
排泄関連 | おむつ・ペットシーツ・ゴミ袋の場所 |
清潔用品 | タオル・ウェットシート・着替えの場所 |
寝床 | クッション・毛布・体位変換用のタオル |
薬 | 保管場所と、飲ませる時間帯 |
緊急時 | かかりつけ病院の名前と連絡先 |
A4一枚にまとめて冷蔵庫に貼っておく。たったこれだけで、ケアの質と速さが変わります。そして、家族の誰かが急に代わりに世話をする日にも役立ちます。
④ 愛犬の「いつもの合図」を言語化しておく
もうひとつ。長年一緒にいる飼い主さんだけが知っている、その子のサインがあります。
「水が飲みたいときは前足で床を叩く」「抱き方はこの向きだと嫌がる」「右耳側から声をかけたほうが届く」。
こうした情報は、カルテにも書かれていませんし、こちらから質問しても出てこないことが多い。けれどケアの現場では、何よりも役に立ちます。気づいたときにスマホのメモに書き足していくのが現実的です。
依頼するときに確認しておきたいこと
初めて外部にケアを頼むとき、気になる点をまとめておきます。
確認項目 | 考え方 |
動物取扱業の登録 | 登録の有無と番号を確認する |
担当者の資格 | どんな資格を持つ人が来るのか |
対応できる時間帯 | 夜間や早朝の相談が可能か |
相談の費用 | 事前相談が無料かどうか |
鍵の取り扱い | 留守中に入る場合の管理方法 |
記録の共有方法 | ケア後に何がどう伝わるか |
合同会社しっぽは動物取扱業登録済(保管・第16014号)で、担当するのは愛玩動物救命士・愛玩動物看護師・愛玩動物介護士のいずれかの資格を持つ者です。
鍵の扱いと、留守中の立ち会いについて
飼い主さんが在宅中にケアに入るのか、留守の間に入るのか。どちらを希望されるかで、準備することが変わります。
留守中の訪問をご希望の場合は、鍵の受け渡しや管理の方法を事前にすり合わせておく必要があります。扱いの具体的な手順はご家庭ごとの事情によりますので、詳しくはお問い合わせください。
また、ご自宅での作業中の万一に備えた考え方についても、ご不安があれば事前相談の段階でお尋ねいただくのが確実です。
初回はどんな流れになるのか
いきなりケアが始まるわけではありません。まず、相談・カウンセリングから入ります。
段階 | 内容 |
①相談 | 状況をお聞きする(無料) |
②すり合わせ | 必要なケアと希望の整理 |
③お申し込み | 内容確定・お手続き |
④ケア開始 | ご自宅へ訪問 |
ここで大切なのは、相談の段階では「お願いするかどうか」を決めなくていいということです。何ができて何ができないかを聞いたうえで、「やっぱり家族でやります」という結論でも構いません。
なお、原則として当日のお申し込みはお受けしていません。ご予約が必要です。ただし、緊急性が高いと判断した場合には、可能な限り対応いたします。ご連絡自体は24時間承っています。
体に異変を感じたときは
ここだけは、あらためて書いておきます。
呼吸の様子がいつもと違う、立てない状態が急に始まった、けいれんがある、水も飲まない——こうしたときは、まずかかりつけの動物病院にご相談ください。 ケアを頼むかどうかの検討は、そのあとで構いません。
自己判断で様子を見たり、ネットの情報をもとに処置を試したりすることは控えてください。判断できるのは、その子を診た獣医師だけです。
ご家庭で受けられるケアという選択肢
合同会社しっぽは、北九州市小倉北区を拠点に、老犬・シニア犬・療養中のペットのための訪問型アニマルケアを行っています。対応エリアは北九州市内全域、門司区・小倉北区・小倉南区・若松区・八幡東区・八幡西区・戸畑区の7区です。
訪問介護・介助(食事・排泄・清拭・体位変換・歩行補助・見守り)
訪問ホスピス/ターミナルケア
レスパイトケア(ご家族の休息のための時間づくり)
病院帯同
エンゼルケア
グリーフケア(ペットロスサポート/オンライン対応可)
施設は持たず、お預かりやペットホテルは行っていません。医療行為も行いません。あくまで、住み慣れたご自宅で、生活を支えるためのケアに専念しています。
相談・カウンセリングは無料です。料金は内容によって変わりますので、まずはお話をお聞かせください。お見積もりをご確認いただいたうえで、ご納得いただけた場合にお申し込みとなります。お支払いは先払い制で、ご入金の確認後にサービスの準備に入ります。24時間ご連絡を受け付けており、ご予約制です。
「こんなことを頼んでいいのか分からない」という段階のご連絡で構いません。何ができて、何ができないのか。それをはっきりさせるところから、一緒に始めましょう。


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