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老犬がうんちを漏らすようになったら|後始末の負担を減らす整え方

11 分前
読了時間: 11分

この記事でわかること

  • 排泄の失敗を叱らないほうがよい理由と、飼い主さんの気持ちの置きどころ

  • 寝床まわりの防水対策と「洗えるものを重ねる」整え方

  • 部分洗いと蒸しタオルを使い分けた、体に負担の少ない清拭の考え方

  • おしりまわりの毛のケアと、においを溜めない洗濯・換気の回し方

  • かかりつけの動物病院に相談したほうがよいサイン

まず、叱らないことから始める

長く一緒に暮らしてきた犬が、ある日、寝床でうんちを漏らしてしまう。驚きと戸惑いで、つい声が出てしまうことがあるかもしれません。


けれど、年齢を重ねた犬にとって、排泄をこらえる力や「トイレまで移動する」という一連の動作は、少しずつ難しくなっていきます。本人が怠けているわけでも、わざとしているわけでもありません。むしろ、できていたことができなくなったことに、犬自身が戸惑っている場合もあります。


叱られると、犬は「排泄そのもの」を悪いことだと学習してしまうことがあります。すると、隠れた場所でしようとしたり、我慢して体に負担をかけたり、飼い主さんの前で排泄すること自体をためらうようになったり。結果として、後始末がもっと大変になる方向へ進んでしまいます。


叱る代わりにできること

場面

控えたい対応

代わりにできること

漏らしているのを見つけた

大きな声を出す、名前を呼んで注意する

静かに近づき、いつもと同じ声で声をかける

犬が気にして動き回る

無理に押さえつける

体を汚さない位置に誘導し、落ち着いてから拭く

後始末の最中

ため息、舌打ち

手早く、淡々と済ませる

片付け終わったあと

無言で立ち去る

軽く撫でる、水を勧めるなど普段通りに戻す


「淡々と」が難しいときもあります。疲れているとき、夜中に何度も続いたとき、きれいにしたばかりのときは、誰でも感情が動きます。そういう日があっても自分を責めなくて大丈夫です。大事なのは、毎回完璧に振る舞うことではなく、片付けの手間そのものを減らして、感情が揺れにくい仕組みを作っておくことです。

寝床まわりを「重ねて」整える

便失禁への備えで最も効果が出やすいのが、寝床の構造を見直すことです。考え方はシンプルで、上から順に剥がしていけるように重ねること。全部を洗い直すのではなく、汚れた一枚だけを交換できる状態を目指します。


重ね敷きの基本構成

層

役割

選ぶときの目安

1. 一番下(床側)

床材を守る

防水シート、レジャーシート、使わないビニールクロスなど

2. 下敷き

クッション性と滑り止め

低反発マット、ジョイントマット

3. 防水層

下まで染みさせない

防水シーツ、おねしょシーツ

4. 吸収層

水分を受け止める

ペットシーツ、介護用吸水パッド

5. 肌あたり層

体に触れる面

薄手のタオル、洗えるマット、ガーゼケット


この5層のうち、汚れるのはたいてい4と5だけです。交換は2枚で済み、1〜3はそのまま残せます。夜中に起きて対応するときも、暗がりで迷わず手が動くようになります。


肌あたり層は「同じものを複数枚」

タオルやマットは、同じ製品を4〜6枚そろえておくと管理が楽になります。サイズも質感も同じなので、交換時に迷いません。洗濯のローテーションも組みやすくなります。


おしゃれなベッドカバーを1枚だけ使うより、地味でも洗い替えがある方が、この時期は圧倒的に助かります。


寝床の周囲も視野に入れる

犬が寝床から半分だけ出た状態で漏らしたり、立ち上がろうとして体の向きが変わったりすることもあります。寝床の外側にも、ひとまわり大きく防水シートやペットシーツを広げておくと、カーペットやフローリングへの染み込みを防げます。


フローリングに直接染みると、目地から水分が入って変色やにおいの原因になります。床を守ることは、住環境と飼い主さんの気持ちの両方を守ることにつながります。

だれも教えてくれない、「全身を洗わない」清拭の組み立て方

便を漏らしてしまったとき、反射的に「シャンプーしなければ」と思う方は多いと思います。けれど、シニア期の犬にとって全身シャンプーは、想像以上に体力を使う出来事です。


立ち続ける、濡れる、乾かす。この一連の流れは、若い頃なら何でもなかったものが、足腰が弱ってきた犬には大きな負担になります。しかも便失禁は一度きりとは限りません。そのたびに全身を洗っていたら、犬も飼い主さんも続きません。


ここで役に立つのが、汚れの程度に応じて手段を使い分けるという発想です。


汚れの程度と対応の目安

汚れの状態

対応

所要時間の感覚

毛の表面に少し付いた

ウェットティッシュ・濡らしたコットンで拭き取る

1〜2分

毛の奥まで入った・乾きかけ

蒸しタオルで温めてからふやかして拭く

5分程度

おしりから後ろ足まで広がった

部分洗い(シャワーで下半身だけ)

10分程度

体の広範囲・体全体

部分洗いを数か所に分けて行う

休憩をはさみながら


蒸しタオルの作り方と使い方

タオルを水で濡らして固く絞り、電子レンジで温めます。取り出すときは熱くなっているので、広げて手の甲で温度を確かめてから使ってください。熱すぎる状態で皮膚に当てることは控えてください。


乾いた便は、こすって落とそうとすると皮膚を傷めます。蒸しタオルを汚れた部分にしばらく当てて、ふやかしてから拭き取る。この「待つ」ひと手間で、力を入れずに落とせます。温かさで犬の体が緩み、嫌がりにくくなるという副次的な効果もあります。


部分洗いの手順の考え方

下半身だけを洗う場合、犬を浴室に連れていくのではなく、洗面器とぬるま湯を使って寝床の近くで済ませる方法もあります。移動が少ないほど、犬の負担は減ります。


洗ったあとは、水分を残さないことが大切です。濡れたままだと体が冷え、皮膚トラブルにもつながります。タオルで押さえるように水分を取り、必要なら低温のドライヤーを離して当てます。熱風を近距離で当て続けることは控えてください。


皮膚が赤くなっている、ただれている、犬が触られるのをひどく嫌がるといった様子があれば、自己判断でケアを続けず、かかりつけの動物病院にご相談ください。

おしりまわりの毛のケア

便が毛に絡むかどうかは、おしりまわりの毛の長さで大きく変わります。ここを整えておくだけで、毎回の後始末の手間が目に見えて減ります。


整えておきたい部位

部位

整える理由

肛門のまわり

便が直接絡むのを防ぐ

しっぽの付け根の裏側

座ったときに便が付きやすい

後ろ足の内側

伝い落ちた汚れが溜まる

足の裏の毛

踏んで広げてしまうのを防ぐ


毛を短くしておくと、拭き取りだけで済む場面が増えます。シャンプーの回数が減り、乾かす時間も短くなります。


ただし、犬が動く場所に刃物を近づける作業には危険が伴います。皮膚はたるんでいて、毛と一緒に引っ張られやすい部位です。不安がある場合は、トリミングサロンや、かかりつけの動物病院でのご相談を検討してください。


洋服やマナーパンツという選択

おなかや下半身を覆える服や、吸水パッドを使うタイプのパンツを使う方法もあります。寝床を汚しにくくなる一方で、蒸れやすくなる、締め付けが負担になる、犬が気にして動き回るといった面もあります。


一日中着せ続けるのではなく、「夜間だけ」「来客があるときだけ」のように時間を区切る使い方が、犬の負担を抑えやすい方法です。装着した状態で長時間放置せず、こまめに中の状態を確認してください。

においを溜めない住まいの回し方

便失禁の悩みは、後始末だけではありません。家ににおいが残ることが、じわじわと飼い主さんの気持ちをすり減らします。


においは「発生源を残さない」「空気を動かす」「布を溜めない」の3つで大きく変わります。


においへの対応と考え方

対象

やること

ポイント

床・壁

水拭きのあと、ペット用消臭剤

染み込む前に拭く

布製品

その日のうちに洗濯へ回す

汚れた布を室内に置かない

ゴミ

密閉できる袋に入れ、蓋付きの容器へ

室内のゴミ箱に溜めない

空気

1日に数回、短時間でも窓を対角に開ける

風の通り道を作る

犬の体

汚れたらその都度、部分的に拭く

においの元は体にも残る


犬が口にしてしまう可能性のある場所では、使用する洗剤や消臭剤の成分表示を確認し、ペットがいる環境で使える製品を選んでください。


洗濯の回し方を「仕組み」にする

汚れ物が出るたびに洗濯機を回すのは現実的ではありません。おすすめは、下洗い用のバケツを一つ決めておくことです。


  1. 汚れた布は固形物を落としてバケツへ

  2. 水かぬるま湯に浸けておく

  3. 1日の決まった時間(朝または夜)にまとめて洗濯機へ

  4. 乾いたものは畳まずカゴにまとめ、寝床のそばに置く


畳まない、というのが地味に効きます。夜中に交換するときは、カゴから一枚引き抜くだけで済みます。


洗い替えが足りないと感じたら、枚数を増やすことを検討してください。買い足しの出費より、夜中に替えるものがない焦りの方が、ずっと負担になります。

かかりつけの動物病院に相談したほうがよいサイン

年齢による変化として受け止められる部分がある一方で、体からのサインとして見逃したくない変化もあります。以下のような様子があれば、様子を見続けずに、かかりつけの動物病院にご相談ください。


気づいたこと

相談の目安

下痢が続いている

食欲や元気の有無とあわせて早めに

便に血が混じる・黒っぽい

早めに

急に漏らすようになった

今までできていたことが短期間で変わったとき

排泄時に鳴く、強くいきむ

痛みのサインの可能性

何日も出ていない

水分摂取の様子とあわせて

おしりのまわりが赤い・ただれている

清拭を続ける前に

食欲が落ちている、水を飲まない

排泄の変化と重なるとき


受診の際は、いつから・どのくらいの頻度で・便の状態はどうだったかをメモしておくと、診察の助けになります。スマートフォンで便の写真を撮っておくのも有効です。言葉で説明しにくい色や形を、そのまま伝えられます。


ここでは原因や対処について踏み込みません。体の中で何が起きているかの判断は、診察した獣医師にしかできないためです。

飼い主さんの消耗にも、目を向けてください

排泄の介助は、終わりの見えにくいケアです。夜中に何度も起きる日が続くと、睡眠が削られます。外出のたびに「帰ったら汚れているかもしれない」と考えるようになります。友人との約束を断る回数が増えていきます。


そして多くの飼い主さんが、そのことに罪悪感を持ちます。「大変だと思ってしまった自分」を責めてしまう。


けれど、疲れを感じることと、犬を大切に思うことは、まったく矛盾しません。むしろ、手を抜かずに向き合ってきたからこそ疲れるのです。


消耗を減らすための小さな工夫

工夫

効果

後始付けセットを1か所にまとめる

夜中に探さなくて済む

寝床のそばに手袋とゴミ袋を常備

動線が短くなる

「きれいにする基準」を下げる日を作る

全部を完璧にしない

誰かに一度でも話す

抱え込みが軽くなる


ケアを分担できる家族がいれば、曜日や時間帯で役割を決めておくと、お互いの負担が偏りにくくなります。一人で担っている場合は、外部の手を借りるという選択肢も、検討していい段階かもしれません。

介護、頑張りすぎていませんか? 1分でできるチェック

ご家庭で受けられるケアという選択肢

合同会社しっぽは、北九州市小倉北区を拠点に、老犬・シニア犬・療養中のペットのための訪問型アニマルケアを行っています。施設にお預かりするのではなく、スタッフがご自宅に伺い、住み慣れた場所で過ごす犬のそばでケアを行います。


排泄の受け止めや体の清拭、寝床まわりの整え、おしりまわりの汚れのケアなど、日々の介助の一部をお手伝いできます。「今日は自分が倒れそうだ」という日に休息の時間を作るレスパイトケア、通院時の病院帯同、終末期に寄り添う訪問ホスピス・ターミナルケアもご用意しています。お別れのあとのエンゼルケア、そしてグリーフケア(ペットロスサポート・オンライン可)まで、長い時間を一緒に歩けるように整えています。


対応エリアは北九州市内全域(門司・小倉北・小倉南・若松・八幡東・八幡西・戸畑の7区)です。動物取扱業登録済(保管・第16014号)で、担当は愛玩動物救命士・愛玩動物看護師・愛玩動物介護士のいずれかが務めます。なお、医療行為は行いません。体の異変については、かかりつけの動物病院へのご相談をお願いしています。また、施設を持たないため、お預かりやペットホテルは行っておりません。


ご利用は要予約で、24時間の対応体制をとっています。原則として当日のお申し込みは承っておりませんが、緊急性が高いと判断した場合は可能な限り対応いたします。


ご相談・カウンセリングは無料です。 料金についてはサービス内容やご家庭の状況によって異なりますので、まずはお話をお聞かせください。お見積りをご案内したうえで、ご納得いただけた場合のみお進みいただきます(代金は先払い、ご入金の確認後にサービスの準備に入ります)。詳しくはお問い合わせください。


うんちを漏らすようになったことは、犬が弱ったという事実であると同時に、これまで一緒に生きてきた時間の長さの証でもあります。その時間を、できるだけ穏やかに続けていけるように。一人で抱え込まずにいられる方法を、一緒に考えさせてください。

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