老犬のいびきが大きくなってきた|寝ているときの呼吸で見ておきたいこと
この記事でわかること
加齢とともにいびきの音が変わることがある、という背景
寝ているときの呼吸を家庭で落ち着いて観察する手順(回数の数え方・口元・姿勢)
寝床の高さや室温・湿度など、今日から試せる家庭の工夫
「様子を見る」でよい場合と、かかりつけの動物病院に相談したい目安
家族が疲れてしまう前に使える、訪問型のケアという選択肢
年を重ねると、いびきの音は変わっていくことがあります
若いころは静かに眠っていた子が、シニアになってから「グーグー」「ガーガー」と音を立てて眠るようになった。あるいは、もともといびきをかく子だったけれど、最近その音が一段と大きくなった気がする。夜中にふと目が覚めて、隣の寝床から聞こえる音に耳をすませている――そんな方は少なくありません。
いびきは、空気の通り道のどこかが狭くなったり、やわらかい組織が振動したりすることで生まれる音です。年齢を重ねると、のどまわりの筋肉の張りが変わったり、寝る姿勢そのものが変わったりします。体重の変化、寝る時間が長くなったこと、以前より深く眠るようになったこと。そうした日々の小さな積み重ねが、音として表に出てくることがあります。
ただし、ここで大切なのは「加齢のせいだから大丈夫」と決めつけないことと、同時に「いびき=重い病気」と思い込んで不安に飲み込まれないことの、その両方です。判断するのはかかりつけの動物病院ですが、判断の材料をそろえられるのは、毎日その子のそばにいるご家族だけです。この記事では、その材料の集め方をお伝えします。
寝ているときの呼吸を観察する、5つの視点
病院で「最近いびきが大きくて」と伝えるとき、それだけでは状況が伝わりきりません。次の5つを見ておくと、話がぐっと具体的になります。
1. 呼吸の回数を数える
もっとも基本で、もっとも見落とされがちなのがこれです。眠っているときの胸やおなかの動きを見て、「ふくらんで、へこむ」を1回として数えます。
手順 | ポイント |
① 静かに眠っているときを選ぶ | 寝入りばなや、夢を見て手足が動いているときは避ける |
② 胸かおなかの動きに目を合わせる | 触らなくてよい。起こさないことが大切 |
③ 15秒数えて4倍する | 1分間まるごと数えてもよい |
④ 日付と時間、回数をメモする | スマートフォンのメモで十分 |
⑤ 数日〜数週間、同じ時間帯で続ける | 「その子のいつもの数」がわかる |
一度だけ数えても、それが多いのか少ないのか判断できません。大事なのは「その子にとっての平常値」を知っておくことです。普段が分かっていれば、「いつもより明らかに速い」という変化に気づけます。一般的な基準の数字をここで挙げることはしませんが、普段と比べて明らかに速い・浅い・荒いという状態が続くようなら、かかりつけの動物病院にご相談ください。
2. 口を開けているかどうか
犬は本来、鼻で呼吸をします。眠っているときに口をぽかんと開けていて、そこから音が出ている場合と、口を閉じたまま鼻から音が出ている場合とでは、状況が違います。
口を閉じて鼻から「グー」と音
口が少し開いていて、舌先が出ている
口を開けて、はっはっと浅く速く息をしている
暑さや運動のあとに口を開けて呼吸するのは自然なことですが、涼しい部屋で安静にしているのに口呼吸が続いているときは、気に留めておきたいサインです。
3. 舌や歯ぐきの色
明るい場所で、そっと唇をめくって歯ぐきの色を見ます。健康なときの色をあらかじめ覚えておき、写真を撮っておくと比較がしやすくなります。
見る場所 | 見方 |
上の歯ぐき | 唇をそっと持ち上げる。無理に口をこじ開けない |
舌 | あくびをしたタイミングなどで自然に見る |
光の条件 | 自然光か白い照明の下で。夜の暖色の照明では色が分かりにくい |
いつもと明らかに違う色味に見えるとき、白っぽい・紫がかって見えるといったときは、すぐにかかりつけの動物病院にご相談ください。これは「様子を見る」対象ではありません。
4. 姿勢を変えると音が変わるか
ここは意外と見られていないポイントです。横向きで寝ているときだけ音が大きい、あごが胸に埋もれるような姿勢のときに音が強くなる、伏せて首を伸ばすと静かになる――そうした関係があるかどうかを見てみてください。
姿勢によって音が明らかに変わるなら、寝床の工夫で楽になる余地があるかもしれません。逆に、どんな姿勢でも同じように苦しそうなら、それは別の情報として伝える価値があります。
5. 眠りが浅く、何度も起きていないか
いびきそのものよりも、眠りの質のほうが大切な情報になることがあります。
夜中に何度も起き上がって姿勢を変える
寝入ったと思ったらすぐに目を覚ます
落ち着ける場所を探してうろうろする
以前は横向きで寝ていたのに、伏せたまま、あるいは座ったまま寝るようになった
特に最後の「座ったまま、首を伸ばしたまま眠る」という変化は、本人がその姿勢のほうが呼吸しやすいと感じている可能性があります。寝姿の変化は、言葉を持たない子からのはっきりしたメッセージです。気づいたら、かかりつけの動物病院にご相談ください。
だれも教えてくれない、「音」を記録に残すという知恵
病院の診察室で、わが子はたいてい緊張しています。いびきをかくほどリラックスして眠ることは、まずありません。つまりご家族が一番心配している「その音」を、獣医師はほとんど聞くことができないのです。
「夜になると大きないびきをかくんです」と言葉で伝えても、それが低い音なのか高い音なのか、連続しているのか途切れるのか、息を吸うときなのか吐くときなのかは、伝わりきりません。
スマートフォンで30秒、動画を撮っておく
おすすめしているのは、音声ではなく動画です。音だけでなく、胸やおなかの動き、姿勢、口元が同時に記録されるからです。
撮るときのコツ | 理由 |
体の横から、全身が入る角度で | 胸とおなかの動きの様子が一緒に写る |
30秒以上は撮る | 呼吸の回数が数えられる長さになる |
部屋を静かにする | テレビや換気扇の音が入ると、いびきの音が埋もれる |
顔のアップも数秒 | 口を開けているか、鼻先の様子が分かる |
日付と時刻がわかる状態で保存 | 変化の経過を追える |
さらに一歩進めるなら、「調子がよさそうな日」の動画も撮っておくこと。悪いときの記録だけだと比べる相手がありません。元気なときの寝息が残っていれば、「ここからここまで変わりました」と示すことができます。
「いつから」を言えるようにしておく
もうひとつ、だれも教えてくれないけれど診察で必ず聞かれるのが「いつからですか」です。毎日そばにいると変化はなだらかで、思い出そうとしても「半年前……いや、もっと前かも」と曖昧になります。
カレンダーアプリや手帳に、ひとこと書いておくだけで十分です。「夜、いびき大きい」「今日は静かだった」。この積み重ねが、あとから振り返ったときに何よりの手がかりになります。
家庭でできる、寝やすさの工夫
ここからは、診断や治療とは別の話――「今夜を少しでもラクに過ごしてもらう」ための環境づくりです。
寝床の高さと、首まわりの角度
あごが胸に埋まるように深く沈み込むベッドだと、首が折れて空気の通り道が狭くなることがあります。反対に、あごや前肢を少し高い位置に預けられると、首がまっすぐ伸びて楽そうに見える子もいます。
工夫 | 具体例 | 注意したいこと |
あご枕をつくる | 丸めたタオルや低いクッションをあごの下に | 高すぎると首に負担。本人が嫌がるなら外す |
沈みすぎないマットに | 適度に反発のある素材を選ぶ | 柔らかすぎると寝返りがしづらい |
上半身をゆるく傾斜させる | 寝床の片側に薄いタオルを重ねる | 急な傾斜は体がずり落ちるので控えてください |
寝返りの余地を残す | 体の1.5倍ほどの広さ | 壁に挟まれる配置は控えてください |
どの工夫も「その子が気に入るかどうか」がすべてです。嫌がる、自分で避けてしまう場合は無理に続けないでください。
首まわりを締めつけないこと
室内でも首輪をつけたままにしているご家庭は多いと思いますが、寝ているあいだは首まわりをゆるめる、あるいは外しておくことを検討してみてください。寝返りのたびに首輪がずれて、気道のあたりを圧迫することがあります。鑑札や迷子札の必要性と相談しながら、ハーネスに切り替えるという選択肢もあります。
室温と湿度
空気が乾燥していると、のどや鼻の粘膜が乾いて音が出やすくなることがあります。また、暑さは呼吸を速くします。
環境 | 意識したいこと |
室温 | 人が快適に感じる温度を目安に。寝床は床に近く、冬は冷え、夏は冷気がたまりやすい |
湿度 | 乾きすぎに注意。加湿器を使うなら寝床に直接風を当てない |
風の通り道 | エアコンの風が直接当たる位置は避ける |
寝床の場所 | 窓ぎわ、ドアの開け閉めが多い場所は温度が変わりやすい |
人の生活する高さと、床に近い犬の寝床とでは、温度も湿度も違います。一度、寝床と同じ高さに温湿度計を置いて確かめてみると、思っていた数字と違うことがあります。
寝る前の過ごし方
興奮したまま寝床に入ると、呼吸が落ち着くまで時間がかかります。夜の遅い時間の激しい遊びや来客は、できれば避けたいところです。また、食後すぐに横になると苦しそうにする子もいます。食事から就寝までの間隔を少し空けてみて、変化があるか観察してみてください。
「様子を見る」と「相談する」の分かれ目
迷ったときの整理として、ひとつの考え方をお示しします。ただしこれは診断ではありません。迷ったら相談する、が基本です。
状況 | 考え方 |
以前からいびきをかいていて、音の大きさも頻度も変わらない | 記録を取りながら、普段の様子を把握しておく |
少しずつ音が大きくなってきたが、日中は元気で食欲もある | 動画を撮って記録し、次の定期受診で相談する |
起きているときにも「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音が出る | かかりつけの動物病院にご相談ください |
眠れないほど苦しそう、何度も起きて落ち着かない | かかりつけの動物病院にご相談ください |
舌や歯ぐきの色がいつもと明らかに違う | 早めにかかりつけの動物病院にご相談ください |
口を開けたまま、安静時でも呼吸が速い状態が続く | 早めにかかりつけの動物病院にご相談ください |
散歩や立ち上がりのあとに、息が整うまで以前より時間がかかる | かかりつけの動物病院にご相談ください |
急に音の性質が変わった(高い音になった、途切れるようになった) | かかりつけの動物病院にご相談ください |
いびきの原因について、この記事で推測を並べることはしません。それは診察を受けて初めて見えてくるものです。ご家族の役割は、原因を当てることではなく、正確な情報を持って診察室に行くことです。
夜の音に、ご家族のほうが眠れなくなっていませんか
シニア期のケアでよく伺うのが、「あの子のいびきが気になって、自分が眠れない」というお話です。音がすれば心配になり、音が止まれば「息をしているだろうか」とさらに心配になる。夜中に何度も起き上がって、寝床をのぞきに行く。
これは、愛情が深いからこそ起きることです。でも、ご家族の睡眠が削られ続けると、日中の判断力も体力も落ちていきます。そして疲れているときほど、「このくらい大丈夫」と小さな変化を見過ごしたり、逆に必要以上に不安になったりしやすくなります。
看る人が倒れてしまっては、看られる子も守れません。 夜を支えるための工夫も、観察も、ひとりで抱え込まなくていいものです。
ご家庭で受けられるケアという選択肢
合同会社しっぽは、北九州市を拠点に、老犬・シニア犬・療養中のペットのご自宅へ伺う訪問型のアニマルケアを行っています。
施設はお預かりしません。環境が変わることが負担になりやすいシニア期の子にとって、住み慣れた家のにおいと、いつもの寝床のまま過ごせることには意味があると考えているからです。
お手伝いできること:
内容 | 概要 |
訪問介護・介助 | ご自宅での日常的なケアのお手伝い |
訪問ホスピス・ターミナルケア | 最期の時間をご自宅で過ごすための支援 |
レスパイトケア | 介護を続けるご家族が休息をとるための時間づくり |
病院帯同 | 通院への付き添い |
エンゼルケア | お見送りの準備 |
グリーフケア | ペットロスのサポート(オンラインでのご相談も可能) |
対応エリアは北九州市内全域(門司区・小倉北区・小倉南区・若松区・八幡東区・八幡西区・戸畑区)です。動物取扱業登録済(保管・第16014号)で、担当するのは愛玩動物救命士・愛玩動物看護師・愛玩動物介護士のいずれかの資格を持つ者です。
24時間対応・要予約で承っています。原則として当日のお申し込みはお受けしていませんが、緊急性が高いと判断した場合は可能な限り対応いたします。なお、医療行為は行いません。体の異変については、かかりつけの動物病院へのご相談をお願いしています。
まずは、お話を聞かせてください
ご相談・カウンセリングは無料です。「いびきが気になるけれど、病院に行くほどかどうか分からない」「夜が不安で、誰かに話を聞いてほしい」。そうした段階でのご連絡でかまいません。
サービスのご利用にあたっては、代金の先払い(ご入金の確認後にサービスの準備を進めます)をお願いしています。料金やお伺いできる内容の詳細は、ご家庭ごとの状況によって変わりますので、詳しくはお問い合わせください。
夜ごとの小さな音の変化に、いちばん先に気づけるのはご家族です。その気づきを、ひとりで抱えないための選択肢として、しっぽを思い出していただけたらと思います。


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