犬の流動食の与え方|介護食を食べやすくする工夫と姿勢
更新日:10月19日
年をとった愛犬が、以前のように食べてくれなくなる。
その変化に気づいたとき、多くの飼い主さんが「どうにかして食べさせなければ」と焦ります。
でも、老犬が食べにくくなる背景にはいくつもの理由があり、理由が違えば手立ても変わります。
ここでは、ご家庭で今日から試せる工夫と、流動食を与えるときに気をつけたいことを、順番に整理していきます。
この記事でわかること
老犬が食べにくくなる原因を、ケース別に整理して知ることができます
食事の「形状」を段階的に変えていく考え方がわかります
流動食の作り方と、誤嚥(ごえん/食べ物が気管に入ってしまうこと)を防ぐ与え方がわかります
「食べない日」が続いたときに、獣医師に相談したいタイミングの目安がわかります
介護する側が疲れきってしまわないための、頼り方の選択肢がわかります
老犬が食べにくくなるのは、なぜ?
「食欲が落ちた」とひとことで言っても、中身はさまざまです。まずは「食べたくないのか」「食べたいのに食べられないのか」を見分けることが、工夫の出発点になります。
歯や口のトラブルによるもの
歯周病や口内のできもの、歯が抜けたあとの違和感などで、噛むこと自体が痛みにつながっている場合があります。フードの前まで来るのに口をつけない、片側でしか噛まない、食べながら首を振る、といった様子が見られることがあります。
口の中は飼い主さんが見てもわかりにくい場所です。気になる様子があるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。
飲み込む力の低下によるもの
年齢とともに、舌や喉の筋肉の動きがゆっくりになることがあります。食べたあとにむせる、水を飲むときにせき込む、食後に「ゴロゴロ」した呼吸音が残る、といった変化が見られることがあります。
この場合は「量」ではなく「形状と姿勢」を変えることが手立てになります。
認知症によるもの
食器の前に立っているのに食べ始めない、食べていることを途中で忘れる、夜中に急に食べたがるなど、リズムそのものが変わることがあります。叱らずに、食べようとしたタイミングを逃さないという考え方に切り替えると、負担が減ることがあります。
病気や痛みによるもの
腎臓や肝臓、消化器の不調、関節の痛みで前かがみの姿勢がつらいなど、食事以外の理由が隠れていることもあります。急に食べなくなった、水も飲まない、嘔吐が続くといった場合は、様子を見るより先に受診をご検討ください。
においや嗜好の変化によるもの
嗅覚が落ちると、フードのにおいを感じ取りにくくなります。今まで好きだったものを食べなくなるのは、わがままではなく感覚の変化であることも少なくありません。
食事の「形状」は、段階的に変えていく
いきなり流動食にする必要はありません。噛む力・飲み込む力が残っているうちは、その力を使える形状を選ぶほうが、体にも気持ちにも負担が少ないと考えられています。

噛む力・飲み込む力にあわせて、食事の形状を段階的に選びます。
段階 | 形状の目安 | 向いている様子 |
1 | ドライフードをぬるま湯でふやかす | 硬いものを避けるが、まだ噛める |
2 | ウェットフード/やわらかく煮た食材 | 噛む力が弱い、歯が少ない |
3 | ペースト状(フォークでつぶす程度) | 舌でつぶせるものなら食べられる |
4 | とろみのある流動食 | 飲み込む力が落ちている |
5 | シリンジ(注射器型の器具)での補助 | 自力で口に運べない |
一度下の段階に進んでも、体調が戻れば上の段階に戻れることもあります。「今日はどの段階か」を毎回見直すくらいの気持ちで大丈夫です。
食べやすくするための、小さな工夫
形状を変える前に、環境を整えるだけで食べられるようになることもあります。
人肌程度に温める:においが立ちやすくなり、食欲につながることがあります
食器の高さを上げる:台や箱に乗せ、首を下げすぎない姿勢をつくります
滑らない床にする:マットを敷き、踏ん張れる状態にします
静かな場所にする:他の動物やテレビの音を避けます
一度の量を減らし、回数を増やす:疲れる前に食べ終えられます
食事は思っている以上に体力を使います。最初の5分がいちばん食べられる時間であることが多いので、その間に食べてほしいものを先に出すのもひとつの方法です。
流動食の作り方と、与え方の手順
とろみの目安
水分が多すぎるとかえってむせやすくなります。スプーンを傾けたとき、とろりとゆっくり落ちるくらいが、ひとつの目安です。
市販の介護用フードやペースト状の療法食を使う方法もあります。持病がある場合は、内容を変える前にかかりつけの獣医師にご相談ください。
与えるときの姿勢
体を起こし、頭を胸より少し高い位置に保ちます
寝たきりの場合は、クッションやタオルで上体を支えます
顔を上に向けさせない(上を向くと気管に入りやすくなります)

上体を起こし、顔を上げさせない姿勢が誤嚥を防ぐ基本です。
シリンジを使うとき
シリンジ(注射器型の器具)を使う場合は、正面から喉に向けて入れないようにします。犬歯のうしろにある歯と歯のすきまから、ほおの内側に向けて少しずつ入れ、飲み込んだのを確認してから次を入れます。
一度に入れる量は、ごく少量から。あわてず、飲み込むリズムに合わせます。
誰も教えてくれない、食後のひと工夫
食べ終わってすぐに横にすると、口や喉に残ったものが気管に流れ込むことがあります。食後10〜15分ほどは、上体を起こした姿勢のまま過ごすと、その負担を減らしやすくなります。
あわせて、口の周りやほおの内側に食べ物が残っていないかを、湿らせたガーゼで軽く確認します。残ったままだと、皮膚のただれや口臭の原因になることがあります。
「食べない日」が続いたときの目安
食べないことは、飼い主さんにとって何よりつらい時間です。ただ、老犬の場合は食欲が波打つこともあり、一日単位で一喜一憂しなくてよい場面もあります。
一方で、様子を見ずに相談したほうがよいサインもあります。
様子 | 考えたいこと |
水も飲まない/半日以上まったく口にしない | 早めに受診をご検討ください |
食後に激しくむせる、呼吸が荒くなる | 誤嚥の可能性があります。受診をご検討ください |
嘔吐や下痢をともなう | 自己判断で食事内容を変えず、獣医師にご相談ください |
食べたそうにするのに食べられない | 口内・喉の状態を診てもらう選択肢があります |
数日かけて少しずつ量が減っている | 記録をとり、次の通院時に伝えます |
「いつ・何を・どれくらい食べたか」を短くメモしておくと、診察のときに役立ちます。スマートフォンで食事の様子を短く動画に撮っておくのも、言葉より伝わりやすい方法です。
ひとりで抱え込まないという選択肢
介護食は、作る手間よりも「毎日、時間をかけて食べさせる」ことのほうが負担になりやすいものです。一回の食事に30分以上かかるようになると、仕事や家族の生活との両立が難しくなることもあります。
ここまで頑張ってきた飼い主さんが、休むことを考えてよい段階です。
北九州市は坂の多い地域も多く、門司区や八幡東区のように、通院や外出そのものが負担になりやすい環境もあります。住み慣れた家から動かさずにケアを受けられる「ご自宅にうかがう方法」は、犬にとっても飼い主さんにとっても移動の負担が少ない選択肢です。
合同会社しっぽは、北九州市内全域(門司区・小倉北区・小倉南区・若松区・八幡東区・八幡西区・戸畑区)にうかがう、高齢犬・療養犬専門の訪問型ペットシッターです。24時間対応・要予約で、食事介助や流動食の与え方のご相談にも対応しています。
サービス | 料金 |
高齢犬・シニア犬 訪問介護・介助 | 1時間 5,500円〜12,000円 |
療養犬・ターミナルケア 訪問介護 | 1時間 6,500円〜15,000円 |
レスパイトケア | 1時間 6,000円〜15,000円 |
病院帯同サービス | 1回 10,000円〜15,000円 |
エンゼルケア(お花代含む) | 25,000円〜50,000円 |
グリーフケア(オンライン可) | 1時間 3,500円〜 |
料金は犬のサイズや内容によって幅があります。すべてのサービスで、事前に無料カウンセリングを行っています。 詳しくはお問い合わせください。
よくあるご質問
流動食に切り替えたら、もう普通のごはんには戻れませんか
体調によっては、やわらかいごはんに戻れることもあります。飲み込む力は日によって変わることがあるため、その日の様子を見ながら段階を調整していく方法があります。判断に迷うときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。
食べさせようとすると嫌がって暴れてしまいます
無理に押さえ込むと、食事そのものを嫌な記憶と結びつけてしまうことがあります。時間帯を変える、量を減らす、姿勢を変えるなど、条件をひとつずつ変えて様子を見る方法があります。介助のしかたそのものを見てほしいという場合は、ご自宅にうかがってご一緒に確認することもできます。
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あわせて読みたい
ひとりで抱えなくて大丈夫です
「まだ相談するほどのことじゃないかもしれない」
「こんなことで連絡していいのかな」
そう思って、連絡をためらう方は少なくありません。
でも、こんな段階でのご相談も承っています。
夜中に何度も起きてしまい、自分の睡眠が足りていない
通院の付き添いが、体力的につらくなってきた
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