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老犬がふらつく・よろけるとき|家の中で今できる安全対策と受診の目安

20 時間前
読了時間: 10分

この記事でわかること

  • 老犬の「ふらつき・よろけ」で考えられる背景と、慌てる前に見ておきたい観察ポイント

  • 今日からできる、家の中の転倒を防ぐ環境調整の具体策

  • 飼い主さんの腰を守りながら、犬の体を支える抱き上げ方・歩行の付き添い方

  • 「様子を見てよいとき」と「早めに動物病院へ相談したいとき」の目安

  • 家族が疲れきってしまう前に、外の手を借りるという考え方

「ふらつく」は一つの症状ではありません

昨日まで普通に歩いていた子が、立ち上がるときにお尻が流れる。廊下で横にずれていく。呼ぶと振り向いた拍子にぐらりと傾く。——老犬と暮らしていると、ある日ふいにこうした場面に出会います。


このとき多くの飼い主さんが「足腰が弱ったんだな」と考えます。もちろんそれも一つですが、ふらつき・よろけという見た目の症状は、いくつもの違う背景から起こります。


見え方

背景として考えられること(例)

後ろ足が踏ん張れず、お尻が落ちる

後肢の筋力の低下、関節や腰まわりの不調

体が同じ方向に傾く・倒れる

平衡感覚(前庭)に関わる変化

頭が片側に傾いたままになる

平衡感覚に関わる変化

壁や家具にぶつかる、暗いと動けない

視覚の変化

立ち上がるまでに時間がかかる・何度も失敗する

筋力の低下、床の滑り、関節の不調

歩き出しだけふらつき、しばらくすると安定する

寝起きの硬さ、血流や体温の問題など

食欲や呼吸にも変化が出ている

全身状態に関わる何か


※これらは「可能性として語られること」であり、原因を見分けるのは診察の領域です。ここで素人判断をして様子を見続けるのが、いちばん避けたい進み方です。


大切なのは、飼い主さんが原因を当てることではなく、①転ばせないこと ②獣医師に伝わる情報を持っていくこと の二つ。この記事はその二つに絞ってお伝えします。

まず今日、家の中を変える

ふらつきが出はじめた老犬にとって、いちばん危険な場所は外ではなく家の中です。長年歩き慣れた場所ほど、犬は「いつも通り」に動こうとして、体がついてこず転びます。


1. 床の滑りをなくす

フローリングは、踏ん張りのきかなくなった後ろ足にとって氷の上と変わりません。足が開いて滑ると、立て直すたびに関節や腰に負担がかかり、その経験が「立つのがこわい」という気持ちにもつながります。


  • よく通るルート(寝床 → 水 → トイレ → 玄関)を一本の帯で考え、そこを優先的に滑らない床材でつなぐ

  • タイルカーペット、滑り止め付きマット、コルクマットなど。部分的にでも効果があります

  • 端がめくれるマットは、かえってつまずきの原因になります。ずれ止めや両面テープで固定を

  • 足裏の毛が伸びていると滑りやすくなります。肉球からはみ出た毛は短く整えておく


2. ぶつかる・落ちるを減らす

危ない場所

対策の例

家具の角、テーブルの脚

コーナーガードやタオルを巻いて保護する

階段

ゲートで立ち入りを止める。抱いて上下させる

玄関の上がり框、段差

スロープ、または通らせない動線に変える

ソファ・ベッドの上

自力で飛び乗り・飛び降りさせない。落下は大きな事故に

水飲み・食器の周り

濡れて滑る。吸水マットを敷く

浴室・洗面所

滑りやすいので、単独で入らないよう扉を閉める

コード類・ラグの端

まとめる、撤去する


階段については、「昔から上れていたから」と開けたままにしているご家庭が少なくありません。ふらつきが出てからの階段は、転落=骨折や強い打撲につながります。上り下りは控えさせ、必要なら抱いて移動してください。


3. 休む場所を「狭く、やわらかく」

よろける子にとって、広い場所は支えのない場所です。


  • 寝床の三方を低い壁(クッション、丸めたタオル、ベッドガード)で囲むと、体が傾いても支えになります

  • 床ずれを防ぐため、体圧の分散するマットを。ただし柔らかすぎると立ち上がりにくいので、立つ場所は硬めにする

  • 夜間は、暗さでふらつきが強く出る子がいます。足元灯をつけておく


4. トイレまでの距離を短くする

ふらつく子が無理に遠くのトイレへ向かい、途中で転ぶ・失敗して落ち込む、というのはよくある流れです。寝床のすぐそばにもう一か所トイレを増やす。これだけで転倒の機会がぐっと減ります。

だれも教えてくれない、「支え方」で飼い主の体が先に壊れる

介護の情報は「犬をどう支えるか」ばかりが語られます。でも、現場で長く続かなくなる理由の多くは、飼い主さんの腰・膝・手首の痛みです。


ふらつく犬を支える動作は、一日に何十回も繰り返されます。10kgの子でも、前かがみで持ち上げれば腰にかかる負担はその何倍にもなります。ここを雑にしたまま数か月続けると、介護する側が先に動けなくなる。これは珍しいことではありません。


抱き上げるときの基本形

  1. 近づく。 離れた位置から腕を伸ばして持ち上げない。体を犬の真横につける

  2. 膝を落とす。 腰を曲げるのではなく、しゃがむ。背中はまっすぐ

  3. 二点で支える。 片腕を前足の後ろ(胸の下)、もう片腕をお尻の下か後ろ足の付け根に回す。お腹の一点だけで持ち上げない

  4. 体に密着させてから立つ。 犬を自分の胸にくっつけてから、脚の力で立ち上がる

  5. 下ろすときも同じ。 しゃがんで、四本の足が床についたのを確かめてから手を離す


体格別の考え方

体格

支え方の目安

小型犬

胸の下とお尻を両腕で。片手抱きは落下の危険があるので控える

中型犬

胸の下+お尻。立ち上がりの補助にはハーネスやタオルが有効

大型犬

無理な抱き上げは控える。介助用ハーネス・スリングを使い、可能なら二人で


歩行に付き添うとき

  • 後ろ足が弱い子には、タオルやスリングを後ろ足の付け根の下に通して、軽く持ち上げる。体重を全部支えるのではなく、「2〜3割だけ軽くする」感覚です

  • 自分の体の真下でタオルを持つ。腕を伸ばして斜めに引くと、犬も自分も姿勢が崩れます

  • 犬の進みたい方向に合わせる。引っぱって誘導しない

  • 長く歩かせるより、短い距離を回数多く。廊下を一往復、庭先まで数歩。これで十分です


「立てない」ときほど、少し立たせる

転ぶのがこわくて寝かせきりにすると、筋力はさらに落ちていきます。一方で、無理に歩かせれば転びます。この間をとるのが、支えた状態で立たせる時間です。


床に滑り止めを敷き、タオルで軽く支えて、数十秒立っている。これだけでも、体を支える感覚は保たれます。ただし、ふらつきの背景によっては安静が望ましい場合もあります。動かしてよいか、どの程度ならよいかは、かかりつけの動物病院に一度確認してからにしてください。

受診を急いだほうがよいサイン

ふらつきの中には、時間が経つほど対応が難しくなるものがあります。以下にあてはまるときは、早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。


サイン

目安

頭が片側に傾いたままになっている

早めに相談

いつも同じ方向にばかり倒れる、くるくる回る

早めに相談

目が左右または上下に細かく揺れている

早めに相談

昨日まで歩けていたのに、急に立てなくなった

早めに相談

強く嘔吐する、よだれが止まらない

早めに相談

意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍い

早めに相談

けいれんを起こした

早めに相談

呼吸が速い・苦しそう、舌や歯ぐきの色がいつもと違う

早めに相談

痛そうな鳴き声を上げる、触ると嫌がる場所がある

早めに相談

転んで強く打った、階段やソファから落ちた

早めに相談


「少しふらつくだけ」「様子を見れば治るかも」と思える場合でも、数日単位で悪化している、日に日に歩ける距離が短くなっているときは、受診のタイミングです。


病院へ持っていくと役に立つもの

診察室では、犬が緊張してふだんと違う動きをすることがあります。獣医師に状況を正しく伝えるために、次を用意しておくと話が早くなります。


  • 動画:家の中を歩く様子、立ち上がろうとする様子を数十秒。正面と横から撮れるとなお良い

  • メモ:いつから/どんなときに強く出るか(起きがけ・食後・夜間など)/左右どちらに傾くか/食欲・水・排泄の変化

  • 既往と服用中のもの:現在かかっている内容がわかる書類やお薬手帳


移動そのものが負担になる子もいます。キャリーの中で体が転がらないよう、タオルで隙間を埋めてあげてください。

「よくなる・悪くなる」より、今日を安全に過ごす

ふらつきが出はじめた老犬との毎日は、よくなる日と悪い日が交互に来ます。良い日に「治った」と喜び、悪い日に落ち込む——この振れ幅が、ご家族をいちばん消耗させます。


目標を「治すこと」ではなく、「今日、転ばせずに、おいしく食べて、眠れること」に置き直すと、やるべきことがはっきりします。


一日の場面

気をつけたいこと

起床直後

体が硬く、いちばんふらつきやすい。すぐ歩かせず、少し声をかけてから支えて立たせる

食事

高さのある食器台で、首を下げすぎない姿勢に。滑らない足場で

排泄

短い動線。失敗しても叱らない

日中

短い散歩や庭先で、外の空気と匂いを。距離より回数

夕方〜夜

暗さでふらつきが強まることがある。足元灯、寝床の囲い

夜間

寝返りが打てない子は、数時間おきに体の向きを変える


そして、記録をつけてください。スマホのメモで構いません。「今日は廊下を2往復できた」「夜に2回鳴いた」。この積み重ねが、受診のときの最大の材料になります。

家族が倒れないための「第三の手」

ふらつく老犬の介護は、ある日から24時間の体制になります。夜中の付き添い、数時間おきの体位変換、仕事を抜けての帰宅。ご家族だけで支えきろうとして、気づけば誰も眠れていない——そんなご相談は少なくありません。


犬のために頑張ること自体は、とても尊いことです。ただ、支える人が疲れきってしまうと、結局その子の生活も続かなくなります。 外の手を借りるのは、手を抜くことではありません。

ご家庭で受けられるケアという選択肢

合同会社しっぽは、北九州市を拠点に、老犬・シニア犬・療養中のペットのご自宅へうかがう訪問型のアニマルケアを行っています。施設へのお預かりはせず、慣れた家の中で、いつもの匂いと家族の気配のなかでケアを行うことを大切にしています。


ふらつき・よろけのあるワンちゃんについては、たとえばこのようなお手伝いができます。


ご相談の例

できること

歩きたがるが、転ぶのがこわい

短い距離の付き添い歩行、支え方のご提案

寝ている時間が増えてきた

体を動かすお手伝い、体位変換のサポート

家の中が危なく感じる

動線や寝床の配置について、一緒に考える

通院の付き添いがつらい

病院帯同

家族が休めていない

レスパイトケア(ご家族の休息支援)

看取りの時期が近い

訪問ホスピス・ターミナルケア、エンゼルケア

別れのあとがつらい

グリーフケア(オンライン対応も可)


担当するのは、愛玩動物救命士・愛玩動物看護師・愛玩動物介護士のいずれかの資格を持つ者です。動物取扱業登録済(保管・第16014号)。医療行為は行いませんので、体の異変や治療に関することは、かかりつけの動物病院へご相談ください。わたしたちは、その治療方針に沿って、日々の暮らしを支える部分を担います。


対応エリアは北九州市内全域(門司区・小倉北区・小倉南区・若松区・八幡東区・八幡西区・戸畑区)。24時間対応・要予約です。原則として当日のお申し込みはお受けしていませんが、緊急性が高いと判断した場合は、可能な限り対応いたします。


ご相談・カウンセリングは無料です

「まだ頼むかどうかわからない」という段階で構いません。ご相談とカウンセリングは無料で承っています。お部屋のどこを直せばよいか、支え方はこれで合っているか——そうした話だけでも、お気軽にどうぞ。


実際にサービスをご利用いただく場合の代金は先払い(ご入金の確認後に準備を進めます)となります。料金の詳細やご希望に合わせたご案内は、お問い合わせください。

介護、頑張りすぎていませんか? 1分でできるチェック

ふらつきは、その子が「もう若くはない」と教えてくれているサインです。こわいことのように感じますが、床にマットを一枚敷くこと、階段にゲートを置くこと、支え方を少し変えること——今日できる小さなことの積み重ねで、一緒に過ごせる時間の質は確かに変わります。


ひとりで抱えこまず、かかりつけの動物病院と、そしてわたしたちのような外の手も、どうぞ使ってください。

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