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老犬のブラッシング|毛玉と皮膚を守るお手入れ

5 分前
読了時間: 11分

ブラシを出すと、そっと顔をそむける。


若いころは平気だったのに、今は途中で立ち上がってしまう。


抜け毛は増えているのに、思うようにとかせない——そんな行き詰まりを感じている方は少なくありません。


老犬のブラッシングは、若い犬と同じやり方のままでは続かないことがあります。ここでは、道具や手順よりも前に知っておくと楽になる考え方から順にお伝えします。


この記事でわかること

  • 年をとると毛と皮膚に何が起きるのか(抜け毛の量が変わる理由)

  • 毛玉ができやすい場所は「寝る姿勢」で決まる、という見方

  • 嫌がる子でも続けやすい、短く区切るブラッシングのしかた

  • 老犬の皮膚に合わせた道具の選び方と、家庭では控えたいこと

  • お手入れを「毎日の観察」に変えるための記録のコツ


老犬の毛と皮膚に起きていること

同じブラシ、同じ力加減でも、シニアになると反応が変わることがあります。それは性格が変わったのではなく、毛と皮膚そのものが若いころと違う状態になっているためだと考えられます。


毛のサイクルが変わり、抜け毛の量が変化する

年齢とともに毛の生え替わりのリズムが変わり、抜け毛の量や時期がはっきりしなくなることがあります。「換毛期なのに抜けない」「季節に関係なくずっと抜ける」と感じる方もいます。


抜けた毛が自然に落ちきらず、体の表面に残りやすくなるのもこの時期です。残った毛が下毛にからまり、毛玉の芯になっていきます。


皮膚が薄く、乾きやすくなる

シニア期になると皮膚のうるおいが保ちにくくなり、弾力も落ちてくることがあります。若いころと同じ力でブラシを当てると、それだけで痛みや赤みにつながることもあります。


  • 指でつまんだときに皮膚が戻りにくい

  • 細かいフケが目立つようになった

  • ブラシを当てた場所だけ赤くなる


こうした変化に気づいたら、力を弱め、当てる時間を短くするところから見直してみてください。


自分で毛づくろいをしなくなる

体が硬くなると、後ろ足やしっぽの付け根まで口や足が届かなくなります。自分でできていた手入れの分が、そのまま飼い主さんの手に回ってくることになります。


寝ている時間が長くなると、毛が同じ向きに寝たまま固まりやすくなります。「抜け毛が増えた」ように見えて、実は「抜けた毛が落ちていない」だけ、ということもあります。


毛玉ができやすい場所は「寝る姿勢」で決まる

毛玉は、犬の毛質だけで決まるものではありません。どの姿勢で長く寝ているかによって、できる場所がほぼ決まってきます。 これは意外と語られていない見方です。


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寝る姿勢ごとに毛玉ができやすい場所が変わることを示した図。

寝る姿勢ごとに毛玉ができやすい場所が変わることを示した図。


いつも左を下にして寝ている子は、左の脇や左の後ろ足のつけ根に毛玉ができます。前足を投げ出して寝る子は、胸の下と肘の内側です。


よくある寝姿

毛玉ができやすい場所

横向きで同じ側を下にする

下になる側の脇・内股・耳の下

うつ伏せで前足を投げ出す

胸の下・肘の内側・あごの下

丸くなって寝る

しっぽの付け根・後ろ足の内側

寝返りが減っている

床に接する側全体・腰のまわり


まずは愛犬の寝姿を思い出して、「今日はここだけ」と場所を決めてとかすほうが、全身を一度にとかすより現実的です。


排泄の介助をしている場合は、しっぽの周りやおしりの毛が湿りやすく、汚れとからまって固まることもあります。この部分は毛玉になる前に短く整えておくと、日々のお世話がぐっと楽になります。


短く区切るブラッシングのしかた

老犬のブラッシングは、「全身をきれいに仕上げること」を目標にしないほうが続きます。1回1〜3分、日をまたいで少しずつ、という進め方があります。


まず素手でなでて「体の地図」をつくる

ブラシを持つ前に、手のひらでゆっくり全身をなでてみてください。毛の流れ、硬くなっている場所、触ると顔を上げる場所がわかります。


  • 毛が固まっている場所はどこか

  • 触ると嫌がる・逃げる場所はどこか

  • 熱をもっている、へこんでいる場所はないか


この「素手チェック」を先にしておくと、痛い場所にブラシを当ててしまう事故が減ります。お手入れの前の30秒が、その日の成否を分けることがあります。


毛玉は根元を押さえてからほぐす

毛玉をそのまま引っぱると、皮膚ごと引かれて強い痛みになります。毛玉の根元(皮膚側)を指でつまんで押さえ、毛先の側から少しずつ崩していく方法があります。


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毛玉の根元を押さえ、毛先の側から少しずつ崩していく手順の図。

毛玉の根元を押さえ、毛先の側から少しずつ崩していく手順の図。


指で裂けるくらいの小さな毛玉なら、縦にほぐしてから目の粗いくしを通します。指でもほぐれない硬い毛玉は、その日は触らずに残しておくという判断も十分にありです。


寝たままの姿勢でできるところから

立たせて全身をとかすのは、足腰に負担がかかります。横になっているときに、上を向いている側だけをとかす——それで今日は終わりでよいのです。


  • 立たせる時間を短くする(できれば寝たまま)

  • 下になっている側は、次の機会に回す

  • 声をかけながら、手を止めるタイミングをつくる

  • 嫌がるサインが出たらその日は切り上げる


途中でやめることは失敗ではありません。「途中でやめられる」お手入れのほうが、長く続きます。


道具の選び方と、洗う前後のこと

老犬の皮膚には、若い犬向けの「よく取れる」道具が強すぎることがあります。刃やピンの当たり方を確かめてから使ってください。


道具

向いている場面

気をつけたいこと

目の粗いコーム(くし)

毛玉の確認・仕上げ

引っかかったら力を入れず戻す

先が丸いピンブラシ

全身のならし・毛流れを整える

ピン先が尖ったものは避ける

獣毛ブラシ

短毛の子・仕上げのつや出し

抜け毛を取る力は弱い

スリッカー(細い針状)

下毛の抜け毛取り

薄い皮膚には当たりが強い。力をかけない


迷ったときは、当たりのやわらかい道具を選んで回数を分けるほうが安全です。道具の良し悪しよりも、力加減と時間の短さが効いてきます。


洗う頻度についても、若いころと同じ間隔でなくてかまいません。全身をお湯につけるのが負担な場合は、蒸しタオルで汚れやすい場所だけを拭き、そのあと乾いたタオルで水分を残さないようにする方法があります。


北九州市は海に近く、季節によって湿気の多い時期があります。湿った毛が皮膚に張りついたままになると、においやべたつきの原因になりやすいので、拭いたあとに「乾かす」ところまでを一続きにすると安心です。


家庭では控えていただきたいこと

よい気持ちで行ったことが、かえって痛みや出血につながる場面もあります。次のことは控えてください。


  • 毛玉をハサミで切ること(毛玉の中に皮膚が引き込まれていることがあり、一緒に切ってしまう事故が起きやすいです)

  • 耳の奥に綿棒などを入れること(見える範囲の入口を拭くまでにとどめてください)

  • 爪を深いところまで切ること(老犬は血管が伸びている場合があります)

  • 肛門腺を強く絞ること

  • 嫌がる子を押さえつけて続けること

  • 長時間、仰向けに寝かせたまま作業すること


爪や肛門まわり、耳の状態が気になるときは、自己判断で処理せず、かかりつけの動物病院にご相談ください。


お手入れは、毎日の観察の時間

ブラッシングの一番の価値は、毛がきれいになることだけではありません。手で全身を触る機会が、体の変化に早く気づくきっかけになります。


その日に気づいたことは、短くメモに残しておくと役に立ちます。日付と場所、大きさ(小豆くらい、など)を書くだけで十分です。通院のときに獣医師へ伝える材料になります。


気づいたこと

記録のしかた

対応

しこり・ふくらみ

日付・場所・大きさの目安

動物病院にご相談ください

出血・かさぶた

いつから・広がっているか

動物病院にご相談ください

強いにおい・べたつき

部位・拭いたあとの変化

続くようならご相談ください

触ると嫌がる場所

どの向きで触ったときか

痛みの可能性。ご相談ください

抜け毛の量の変化

増えた・減った・左右差

気になる変化は記録して相談


私たちがご家庭でケアにうかがう際にも、この「記録」をとても大切にしています。毎日見ている方の小さな気づきは、診察の場では得られない情報になることがあります。


手が回らないと感じたときの選び方

介護が長くなると、ブラッシングまで手が届かない日が出てきます。それは怠けではなく、時間と体力の総量が足りていないだけのことです。


お手入れを人に頼むとき、大きく分けて施設にお預けする方法と、ご自宅に来てもらう方法があります。老犬や療養中の子は、移動そのものが負担になることもあるため、住み慣れた家で受けられるかどうかは選ぶうえでの目安になります。


合同会社しっぽは、北九州市内全域(門司区・小倉北区・小倉南区・若松区・八幡東区・八幡西区・戸畑区)にご自宅までうかがう訪問型のケアを行っています。坂道や階段の多い地域もあり、抱えて外へ出ること自体が難しいというご相談にも、その場の環境に合わせて考えていきます。


ご相談の入口として、次のようなサービスをご用意しています。すべてのサービスで無料カウンセリングを実施し、そのうえでお一人おひとりに合わせたオーダーメイドのケアをご提案しています。


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1時間 6,000円〜15,000円

病院帯同サービス

通院に付き添い、普段の様子や記録を獣医師に伝える

1回 10,000円〜15,000円


料金はサイズや内容によって幅があります。ご予約制で24時間のご相談を受け付けており、原則として当日のお申し込みは承っていませんが、緊急性が高いと判断した場合は可能な限り対応いたします。詳しくはお問い合わせください。


「ひとりじゃないよ。頑張らなくていいよ。しっぽに声を届けて。」——お手入れが回らない日があっても、それを責める場所ではありません。


よくあるご質問

抜け毛が急に減りました。とかさなくてよいのでしょうか。

抜け毛が減ったように見えても、抜けた毛が体の表面に残っているだけの場合があります。とかす回数はそのままに、力を弱めて続けてみてください。毛量や毛質そのものの変化が気になるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。


硬い毛玉が背中にできています。どうすればよいですか。

指でほぐれない毛玉を引っぱったり、ハサミで切ることは控えてください。皮膚が毛玉に引き込まれていることがあります。無理をせず、動物病院やお手入れに慣れた方にご相談いただくのが安心です。


寝たきりでブラッシングの体勢がとれません。

寝たままの姿勢で、上を向いている側だけをとかす方法があります。体の向きを変える動作自体が負担になる場合もあるため、一度に全身を仕上げようとせず、日を分けるのがおすすめです。ご自宅でのやり方については、訪問の際に一緒に組み立てていくこともできます。


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