老犬が立ち上がれなくなったとき|体を支える介助の基本
更新日:2 日前
朝、いつものように起き上がろうとした愛犬が、後ろ足を滑らせたまま立てずにいる。その姿を見て、頭が真っ白になった方もいらっしゃると思います。
立ち上がれないことは、老犬の暮らしのなかで多くのご家庭が直面する変化のひとつです。ここでは、その場でできる支え方と、家庭で見ておきたいことを順にお伝えします。
この記事でわかること
老犬が立ち上がれなくなる背景に、どんなものがあるか
受診を急いだほうがよい様子と、記録して次の診察で伝えたい様子の見分け方
体を持ち上げるときの、手の置き場所と力の向き
自宅にあるタオルでできる介助と、滑らない床のつくり方
介助する側の腰と気持ちを守るための考え方
立ち上がれない、その瞬間にまず確認したいこと
慌てて抱き上げたくなりますが、最初の数十秒は「どんなふうに立てないのか」を見る時間にあてると、そのあとの判断が変わってきます。
見ていただきたいのは、次のような点です。
前足は踏ん張れているか、後ろ足だけが滑っているか
体が片側に傾いていないか、同じ方向にばかり倒れないか
痛そうな声を出す、触ろうとすると嫌がる場所があるか
床が滑っているだけではないか(フローリング、廊下、玄関まわり)
呼吸が荒くないか、目の動きがいつもと違わないか
そのうえで、体を支えて立たせてみます。支えれば数歩でも歩けるのか、支えても足に力が入らないのかは、獣医師に伝える情報としても大切な違いです。
立ち上がれなくなる背景にあるもの
原因はひとつとは限らず、いくつかが重なっていることも少なくありません。ここでは家庭から見える範囲での整理をお伝えします。診断は動物病院の領域ですので、当てはめて決めつけないでお読みください。
後ろ足の筋力が落ちてきたことによるもの
年齢とともに、おしりや太ももの筋肉が細くなっていきます。立ち上がる動作は後ろ足で床を押す力に頼るため、ここが弱ると「座った姿勢からお尻が持ち上がらない」という形で表れることがあります。
歩き出せば普通に歩ける、寝起きの一歩目だけつらそう、という場合はこのタイプの要素が大きいこともあります。
関節の痛みによるもの
膝や股関節、腰に痛みがあると、立ち上がる瞬間だけ声を出したり、途中で動きを止めたりすることがあります。
立ち上がるまでに何度もやり直す
特定の足をかばう、その足だけ床につけない
触られるのを嫌がる場所がある
痛みは犬が隠しやすいものです。「鳴かないから痛くない」とは限らない点は、覚えておいていただけたらと思います。
神経の異常によるもの
背骨や神経に関わる変化があると、足の感覚や力の入り方が急に変わることがあります。急に後ろ足を引きずる、足の甲を裏返したまま気づかない、排泄の失敗が突然増えたといった様子は、早めの受診が望ましい変化です。
前庭疾患や、平衡感覚の不調によるもの
頭が傾く、同じ方向にぐるぐる回る、目が小刻みに揺れる、といった様子とともに立てなくなることがあります。本人はとても不安な状態ですので、転倒しないよう周囲を柔らかいもので囲み、早めに獣医師にご相談ください。
認知症の進行に伴うもの
体の力は残っていても、立ち上がる手順そのものが分からなくなる場合があります。夜中に鳴く、狭いところに入り込んで出られない、昼夜が逆転するといった変化と一緒に現れることもあります。
床が滑っていることによるもの
体の問題ではなく、環境が原因のこともあります。フローリングの上では足が外側に開いてしまい、健康な犬でも踏ん張れません。「昨日まで立てたのに」という急な変化は、まず足元を疑ってみる価値があります。
受診を急ぐかどうかの目安
判断に迷ったときの、おおまかな整理です。最終的な判断はかかりつけの獣医師にお任せください。
様子 | 目安 |
突然まったく立てない/後ろ足を引きずる | できるだけ早く受診 |
呼吸が荒い、ぐったりしている、意識がぼんやり | できるだけ早く受診 |
頭が傾く、同じ方向に回る、目が揺れる | できるだけ早く受診 |
触ると強く痛がる場所がある | できるだけ早く受診 |
支えれば歩ける、寝起きだけつらそう | 記録をとって早めに相談 |
数週間かけて少しずつ弱っている | 次の診察で経過を伝える |
受診の際は、立てないときの様子を短い動画で撮っておくと伝わりやすくなります。診察室では緊張して普段と違う動きをすることもあるためです。
体を支える介助の基本
ここからは、今日から試していただける支え方です。ご自身の体も傷めないよう、無理のない範囲で行ってください。
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持ち上げる前に、前足の位置を整える
見落とされやすいのですが、立ち上がる動作は前足の位置で決まります。 前足が体の下に入っていないまま後ろを持ち上げても、犬は前に崩れてしまいます。
まず前足を肩の真下あたりに置き直し、肉球が床についているのを確認してから支えると、少ない力で立てることがあります。
手を置く場所
持ち上げる場所によって、犬の負担が変わります。
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胸と後ろ足の付け根を支え、斜め前方へ力を向ける介助の基本。
支える場所 | 考え方 |
胸の前(前足の付け根の間) | 手を差し入れて体を前上方へ導く |
おなかの後ろ寄り(後ろ足の付け根の前) | 内臓を圧迫しないよう、骨盤に近い位置で |
尻尾 | 引っぱらない |
首輪・首元 | 持ち上げる場所には向かない |
力の向きは「真上」ではなく「斜め前方」です。犬が前に出ようとする動きに合わせて添えるほうが、本人も立ちやすくなります。
タオルで作る簡易的な支え
バスタオルやフェイスタオルを細長くたたみ、おなかの下に通して両端を持つと、後ろ足の補助になります。
タオルの幅は広めにとり、食い込みを防ぐ
持ち手は短めに握り、介助する人が前かがみになりすぎないように
おなかではなく、後ろ足の付け根に近い位置に通す
オスの場合は陰部を避けて位置を調整する
前足も弱ってきている場合は、胸の下にもう一枚通して二人で支えるか、体全体を包める市販の介助用ハーネスを検討する方法もあります。
体格による違い
サイズ | 介助の考え方 |
超小型犬・小型犬(〜10kg) | 片手で胸、もう片方でお尻を支えやすい。急に抱き上げず、床に足がついた状態から補助する |
中型犬(〜20kg) | タオルやハーネスを使い、腰を落として支える |
大型犬・超大型犬(20kg〜) | 一人で持ち上げようとしない。二人での介助や、滑り止め・段差解消で「持ち上げずに済む環境」を優先 |
だれも教えてくれない、立ち上がりを助ける小さな工夫
介助のやり方だけでなく、環境と体の手入れで変わる部分があります。あまり語られないところをいくつかお伝えします。
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寝床から水飲み場やトイレまで、滑り止めを面でつなぐ動線の例。
爪と、肉球の間の毛。 爪が伸びていると指が地面を捉えられず、肉球の間の毛が伸びているとフローリングの上ではスケート靴のような状態になります。ここを整えるだけで踏ん張りが戻ることもあります。
起き抜けは、少し待つ。 寝起きは体がこわばっていて、いちばん立ちにくい時間帯です。声をかけてから一呼吸置き、体をさすって温めてから介助すると、本人の抵抗が減ることがあります。
滑り止めは「線」ではなく「面」で。 部分的にマットを敷くと、その境目でかえって足を取られます。寝床から水飲み場、トイレまでの動線を、途切れないようにつなぐ考え方が役立ちます。
カーペットやタイルマットを継ぎ目なく敷く
立ち上がる場所(寝床の周囲)は特に広めに
段差の前後には、踏ん張れる素材を置く
壁際やコーナーを使う。 体の片側を壁に預けられる場所だと、犬は倒れる方向が減るぶん立ちやすくなります。寝床を部屋の真ん中ではなく壁沿いに移すだけでも変わることがあります。
声をかける方向。 前方やや上から名前を呼ぶと、犬は自然に頭を持ち上げ、体重が前足に乗ります。頭の位置は、そのまま立ち上がりのきっかけになります。
北九州は坂の多い土地で、古くからの戸建てには玄関の上がり框や外階段があるお住まいも少なくありません。外に出る動線のどこに段差があるかを一度書き出しておくと、介助が必要になったときの備えになります。
介助する側の体と気持ちを守る
抱え上げる動作は、腰への負担が大きいものです。膝を曲げて腰を落とす、体を犬に近づけてから支える、といった基本を守るだけでも違ってきます。
そしてもうひとつ、見落とされやすいのが「介助が一日に何回あるか」です。一回は軽くても、一日に何度も、夜中も続けば、体力も睡眠も削られていきます。
食事のたびに支える
排泄のたびに支える
体の向きを変える
夜間に何度も起きる
介護が長くなるほど、飼い主さんのほうが先に限界に近づいてしまうことがあります。「自分が休むこと」を予定に組み込むのは、わがままではなく、介護を続けるための方法のひとつです。
ご自宅で受けられる介助のサポートについて
ここまでの内容は、ご家庭で試していただけることを中心にまとめました。そのうえで、ひとりで抱えるのが難しいと感じたときに、外の手を借りるという選択肢があります。
合同会社しっぽは、北九州市内全域(門司区・小倉北区・小倉南区・若松区・八幡東区・八幡西区・戸畑区)で、高齢犬・シニア犬・療養犬・ターミナルケアを専門とする訪問型のペットシッターです。お預かりではなく、ご自宅にうかがってケアを行います。
立ち上がれない犬にとって、移動そのものが大きな負担になります。住み慣れた家の、いつもの寝床のまま受けられることは、訪問型の利点のひとつだと考えています。
なお、しっぽは医療行為を行いません。診断・治療・お薬に関する判断は、すべてかかりつけの獣医師の領域です。お手伝いできるのは、食事・排泄・歩行の介助、体の向きを変えるお世話、見守り、通院の付き添い、そしてご家族の休息の時間づくりです。
サービス | 内容 | 料金 |
高齢犬・シニア犬 訪問介護・介助 | 食事・排泄・歩行などの介助をご自宅で | 1時間 5,500円〜12,000円 |
療養犬・ターミナルケア 訪問介護 | 病気やケガ、手術後などの療養生活を自宅で支える | 1時間 6,500円〜15,000円 |
レスパイトケア | 介護するご家族が休むための時間をつくる | 1時間 6,000円〜15,000円 |
病院帯同サービス | 通院に付き添い、普段の様子や記録を獣医師に伝える | 1回 10,000円〜15,000円 |
グリーフケア | ご家族の気持ちのご相談(オンライン可) | 1時間 3,500円〜 |
料金は犬のサイズやケアの内容によって幅があります。すべてのサービスで、まず無料カウンセリングを行っています。ご家庭の状況をうかがったうえで、内容を組み立てるオーダーメイドのケアです。
「ひとりじゃないよ。頑張らなくていいよ。」――立ち上がれない愛犬のそばで、どうしていいか分からなくなった夜にこそ、声を届けていただけたらと思います。
よくあるご質問
支えれば立てるうちは、まだ病院に行かなくても大丈夫でしょうか
立てる/立てないに関わらず、これまでとの違いが出てきた時点で一度ご相談いただくのが安心です。原因によって暮らしの整え方も変わってきます。判断はかかりつけの獣医師にお任せください。
介助用のハーネスは、買ったほうがよいですか
体格やご家庭の環境によって向き不向きがあります。まずはタオルで試し、支える位置や回数を確かめてから検討する方法もあります。無料カウンセリングの際に、ご自宅の様子を拝見しながら一緒に考えることもできます。
通院の付き添いだけをお願いすることはできますか
病院帯同サービスとして、通院への同行と、普段の様子や記録を獣医師にお伝えするお手伝いを行っています。24時間対応・要予約で、原則として当日のお申し込みはお受けできませんが、緊急性が高いと判断した場合は可能な限り対応いたします。詳しくはお問い合わせください。
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合同会社しっぽは、北九州市内でシニア犬・老犬・療養中のわんちゃんの訪問ケアを行っています。
ご自宅にうかがうかたちなので、住み慣れた場所のまま、移動の負担をかけずにお世話ができます。
いきなりご契約ではありません
ご依頼の前に、まず無料のカウンセリングを行います。
いまの様子とご家族のご希望をうかがったうえで、その子に合ったケアをご提案します。
「話を聞いてみるだけ」で構いません。
ご相談いただけること | 内容 |
訪問介護・介助 | 食事・排泄・歩行などの介助を、ご自宅で |
訪問ホスピス・ターミナルケア | 療養中・看取り期の穏やかな時間を支えます |
レスパイトケア | 介護するご家族が休むための時間をつくります |
病院帯同 | 通院に付き添い、普段の様子を獣医師にお伝えします |
エンゼルケア/グリーフケア | お別れのあとのお世話と、ご家族のお気持ちのご相談 |
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ひとりじゃないよ。頑張らなくていいよ。
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